空間がメンタルに与える影響は意外と侮れません。
遊園地などの楽しい空間だとワクワクとした気持ちになるでしょうし、自然豊かなキャンプ場なんかだと爽やかな気分になったりする。
逆にきったない駅のトイレにいるのが一番気分が良くなるみたいな人はいないと思います。
こういう気分の変化は自分の家でも起きています。
多くの人は、家にど落ち着ける場所としての用途を持たせています。
睡眠や、食事、その他リラックスのための時間。
他に用途を持っていたとしても、大半は落ち着いて過ごせる必要のある用途です。
そうである以上自分の家は整理整頓されている必要があります。
じゃないと休息に使われるという本来の用途を満たせず、日常のパフォーマンス、ひいては人生の満足度を下げかねません。
その点で、部屋の整理は大事です。
というわけで、部屋の整理についての話です。
まず最も大事なのは、必要な物以外は持たないということです。
ミニマリズムの体現ですね。
ミニマリズムと言うと、ただ物を減らせばいいと思われがちですが、そういうわけではありません。
元々のミニマリズムとは「完成度を追求するために、装飾的趣向を凝らすのではなく、むしろそれらを必要最小限まで省略する表現スタイル」のこと。
その人にとって必要ならば、洋服を何百着と部屋に置こうがミニマリストです。
(ファッションモデルやデザイナーの方なら当てはまるでしょう。)
ただ、ミニマリズムを取り入れようとするときに、皆が困ることとして「なにが本当に大切か分からない」という問題があります。
それもそのはずで、本当に大切なものというのは、人生の晩年で明らかになっていくものだからです。自分の価値観を明らかにして、それに従って生きていこうと思えたときに、ようやく見えてくるものです。早くとも40代。それ以降も価値観の探求は続きます。
ですから、人生半ばの段階では、基本的には分からない。
まあ分からなくても、適当に捨てていけば部屋は見かけ上、綺麗になっていきますので、捨てることができるのなら捨てて行きましょう。
片付けインフルエンサーが「部屋の片づけのポイント」みたいなのを発信してくれていますので、それに沿ってどんどん捨てましょう。
でもそれではうまく行かない人もいるはずです。
人生の序盤は物を集めてなんぼですから。まずは持ってみて、必要なら持ち続け、要らないなと思えば手放す。その繰り返しで、大切なものを見極められるようになっていくのです。持たなければ、必要かどうかは永遠に分かりません。
そんな人のために、物を減らす以外に、部屋が整って見える方法というのを考えていきます。
ではどうぞ。
物が多くても部屋を整えてみせる方法。
大まかに言ってしまうと、配置に法則性を持たせると言うことです。つまり、ランダムな配置ではなく、人の意図を感じさせる配置をするということです。
まず第一に「形の工夫」です。
・左右対称になるように
・背の順になるように
・上端が同じラインに来るように
・三角形になるように
・中心線の延長上になるように
などです。
煩雑に物を置くのではなく、意図しないとその配置にはならないという置き方をするのです。校庭で児童が背の順に整列していると、その空間に要る人数は同じでも、整って見えますよね。昼休みの校庭とは光景が異なるはずです。それと同じことを部屋のなかでもするのです。
西洋の庭なんかは、このやり方で整理された空間を演出しています。
左右対称だったり、植木も特定の形に綺麗に切りそろえられてますよね。
第二に「グルーピング」です。
・用途が似たものが必要な場所にまとまるように
・グループに見えるように
・色がそろうように
・形がそろうように
などです。
カラフルなマーブルチョコレートを想像したとき、ただ皿の上に出すのと、色ごとに分けて皿の上に乗せるのとでは、受ける印象が変わると思います。似た性質のもの同士でまとめられると整って見えるからですね。
洗面所には洗面用具を、その洗面用具もヘアケア用品、選択用品、お風呂用品、などでグループ分けすることで綺麗にみえる。
また、同じ部屋内でもそうした切り分けは有効です。
寝るスペースとそこに必要なもの。
テレビを見るスペースとそこに必要なもの。
食事するスペースとそこに必要なもの。
服のコーディネートを組む場所とそこに必要なもの。
こういった具合です。
そうやって用途ごとにまとめられていない場合、どんなに物が少なくても違和感を覚えてしまいますので、ミニマルな状態を実現できたとしても覚えておく必要のあるテクニックですね。
第三に、「使いやすいようにする」です。
・自分の身長に合わせて
・使う人の体格に合わせて
・通るときに邪魔にならないように
・使う時に適切なサイズになるように
これで整って見えるのは違和感が排除されるからですね。
例えば子供部屋に背の高い家具がたくさんあったり。
洗濯機からベランダまでの経路がすごく狭いとか、最短距離を塞いでるとか。
部屋のサイズに比べてテレビが小さめとか、テレビからソファの距離が離れすぎているとか。
人は、受け取る情報が多いほど、整っていないと感じてしまいます。
使いにくさを感じるとそれも違和感という情報になって、整っているという感覚を邪魔するのです。
こちらのテクニックもまた、物が少ない状態でも意識すべきテクニックですので覚えておいてください。
最後に、
この方法は、物を減らさないでもある程度整理整頓を実現する方法です。物がある以上、生活感はぬぐえません。その点はご留意いただきたい。
ですから、結局まずやるべきは、今わかる範囲で要らないものを減らすこと。
ゆくゆくは、完全に必要最低限の物しかない状態を目指すこと。
そのうえで、現状をよりよく見せるために配置の工夫をすること。
上記に沿わなくても、「意図を持って配置する」ということを心がければ、大抵の物は整って見えてくれます。
また最低限の物しかない空間においても、紹介した第二・第三のテクニックは必要になってきますのでぜひ覚えておいてください。
というわけで快適な空間づくりに役立ててくださいませ。
補足として、一般にオシャレで快適な空間づくりの方法として言われる観葉植物を置きましょうとか、小物で飾りましょうみたいなのは、部屋が十分片付いた後にやることですから、片付いていないうちからやるのは避けてください。上級者のたわごとです。上級者になってから実践しましょう。
あと、無計画に収納を増やしていくのもやめたほうがいいです。収納の容量に合わせて物は増えていく傾向があります。物を減らしたいと考えているときに、収納の数を増やすのは悪手です。