人の行動指針はその人の価値観によります。
例えば「外注する人」と「全部自分でやる人」。
真逆の行動を取る両者にもそれぞれの価値観があり、その価値観に従った結果真逆の行動を取るに至ったわけです。
どっちが間違っているとか正しいとかはありません。それぞれ正しい。
外注する人は大抵こんなことを考えています。
「自分でできないことは例えお金を払ってでも人に任せよう。苦手なことに時間を割くより、得意な人に外注して、空いた時間を自分の得意なことに回した方が効率的だ」
「人類は社会性のある生き物で、集団の中で人と協力しあってこそ真価を発揮する。皆で作り上げた物は、相乗効果で1人で作るよりも何倍も良いものになる。それぞれが得意不得意を補いあうこと、つまり私が苦手を外注することは本来あるべき人間の姿だ。」
一方で全部自分でやる人は、
「人に任せてしまうと、自分の思った通りの出来にならない。手が回らない時は仕方なく人に頼むこともあるが、極力自分でやるようにしている。そうしないと納得がいかなくなってしまう。」
「自分でやるべき作業を、人に任せてしまうのは気が引ける。人に迷惑をかけないためにも、できるだけ自分でやるようにしている。」
「できないからと人に任せてしまっては、永遠にできないままになってしまう。それだと自分の成長につながらない。なにより自分の分からないことを人に任せてしまうと、丸投げになってしまい、適切な注文や状況の把握ができない。重要な事でそうなってしまうのは困る。」
みたいな感じです。
それぞれについて考えてみましょう。
例えば全部1人でやる場合、その人が「天才」みたいな存在ならばその方がいいかもしれません。凡人の思考や作業を混ぜてしまうと「天才」思い描くものが出来なくなってしまう。
某ベルリン国際映画祭の有名アニメ監督は、本来自分一人で全部作品を作りたいけど、無理だから仕方なく人に任せていると言います。毎回「引退する」というのは、外注しないで済むものは全部自分でやってしまうため、本当に精魂尽き果てるのでしょう。また、外注すると、自分の想像と違うものが大抵上がってくるため、仲間を否定しなければならないことになり、それも擦り減る原因だそうです。監督としての最初の一本目から「仲間を失うからもう二度とやりたくない」と漏らしていたようです。
つまりこの例でいえば、1人でやれば納得の行くものが完成するかもしれないが、同時にとんでもない労力がかかる訳で、それを天秤にかける感じになります。
一方で外注については、まずは効率的で楽になりますね。これは1人でやるのと逆ですね。
同じように出来上がるものへは納得しにくくなる。そこはある程度妥協することになるでしょう。
しかし、成果物の質に関しては実は必ずしも逆にはなりません。
人に頼んだからといって悪いものになるとは限らない。
色んな人が携わることにより、良いアイデアが生まれやすくなるからです。
1人では思いもよらなかった事を二人になると突然思いついたりする。
人数が増えるほどその確率は増えていきます。
同じアニメの制作で例えると、某有名ネズミの会社では、1人の天才が独断でアニメーションを作って行くことはありません。マニュアルに則って、完全分業と話し合いによって作り上げられていきます。そうしてできた作品は、天才の特別なアイデアがなくとも、斬新なアイデアの宝庫となり世界中の人を楽しませる作品に仕上がるのです。
まあ「天才のアイデアがなくとも」なんて言いましたが、実際のあの会社は天才の集まりなんですけどね。
なんにしても外注しているか、1人でやっているかという観点で両者は対照的なわけです。
他にも徳川幕府は、天才家康の頃は1人で事実上ほとんどのことを決めていましたが、2代目以降、つまり天才を失ってからは、家臣との話し合いにより運営されています。
天才がいてその人のやる気があるなら一人で、
天才不在か、もしくは労を減らし継続性を重視するなら外注でという感じでしょうか。
他にも1人で作ったものはめちゃくちゃ尖ります。
1人の人の価値観が思い切り反映されているので、その価値観を理解できる人にはめちゃくちゃ刺さりますが、理解できない人にはめちゃくちゃ不評になったりします。
アートや音楽は割とそういう側面ありますよね。
一方で外注の場合、関わる人数が増えるほど丸くなる。
これは多くの人の価値観を擦り合わせて、より色んな人が共感し易くなるからですが、一方で、誰にも刺さらないものが出来上がるリスクもあります。
なんか皆で話し合ったらくそ詰まらんものができてしまったぞみたいなことはよく聞く話です。
それを避けるためにネズミのところはマニュアルを用意しているみたいですね。
散文ですがまとめます。
価値観や行動指針に基づく選択の多様性は、個々の個性や環境によって異なります。外注するか、自分でやるか、その選択にはそれぞれのメリットやデメリットがあります。外注することで効率化や多様なアイデアの取り入れが可能になりますが、自分でやることで納得感や個人のアイデンティティを強化することもできます。また、天才の存在やチームの構成、目指す成果物によっても最適な選択は変わってくるでしょう。
言いたかったことを書く前にこんな量になってしまったので、今回はこれで締めます。
「得意なことを外注する」のと「苦手なことを外注する」のの比較でちょっと思いついたことがあったので本当はそれを書きたかったのです。書き出しをミスったのと、アニメ制作の例を話し過ぎました。また後日。